1789東宝版

去年、宝塚で「1789」という作品をやっていたことはTLで知っていました。作品の内容は全然把握してなくて、衣装が豪華だなーとか、なんか面白そうだなーという印象だけが残っていたくらいで。
東宝で上演するという報せに喰い付いた理由は、加藤和樹小池徹平のWキャストでした。徹平くんはメリリー、日生デスミュからの帝劇初主演になります。OMSを観て「もう呪わない(なるべく)」と宣言したものの、帝劇1789が発表された2015年6月は絶賛呪い中だったので、当時WaT10周年の活動を控えていた徹平くんに次々と東宝ミュが決まっていく、しかもイケコ*1に見つかるなんて羨ましいしかない!と唇を噛み締めていました。そして、梅芸のチケットを確保していました。

帝劇公演は周りの友人も多く観に行っていて、ものすごく評判が良くてますます楽しみになりました。ロナン・オランプ・マリーアントワネットがWキャストで、稽古の時はてぺさや/かーねねペアでやってて、さやちゃんの推しもこのペアなのだそう。「作画が違う」っていう主張、すごくわかる(笑)
帝劇で観た友人の多くは宝塚版も観ていて、宝塚版との違いを判るためには先に宝塚版を観ておくべきでは?と思い立って探してみたら、やってたのは月組さんで、まさおさんがロナンでちゃぴちゃんがアントワネットだったから、いやこれ私絶対好きだよね?!と、いてもたってもいられずキャトルレーヴで1万円のブルーレイを買っていました。東宝S席より安く映像が手に入るなんて!(ポジティブ)
で、ブルーレイで観た月組1789はやっぱりすごく好みでした。これが東宝ではどうなるんだろう?期待に胸を膨らませながら梅芸に行きました。

観たのは5/22のマチソワです。マチネが、てぺさやかなめさんで、ソワレは、かーさやお花さん。徹平くんと加藤くんの違いも見たいし、花總さんも見たい、もちろんさやちゃんが見たい、という欲求を1日で満たしてくれる最高のスケジュール。さやちゃんの推す、かーねねペアが見れなかったのは残念でしたが。

マチネの初見感想は「月組と全然違う!!」
楽曲もストーリーも基本はだいたい同じなはずなのに、演出が最初からまるで違う。例えば同じ脚本を別の演出家で連続上演した「祈りと怪物」も観ましたが、1789は月組東宝も小池先生なのにこんなに変えられるものなのか!と仰天しました。逆に言えば、フランス版を宝塚の制約に合わせて改変していたはずなので、東宝はフランス版の方がベースになっているのかもしれませんね。それなら納得です。確かめるためにも会場内で売られていたフランス版CDを聴いてみるべきでは?と幕間に気付きましたが、既に売り切れていました。後日ネットで注文して無事に入手しましたが(行動力はある)やっぱりフランス版がベースであることは間違いない気がします。ただ、東宝版を観てからかなり日が経ってしまっていて自信がないので、もう一度東宝版が観たい…。

キャラクターの違い

とは言え、月組東宝の演出の違いをレポする能力はないので、印象に残ったキャラクターについて。実は、東宝版の記憶が薄れてしまいそうで、東宝を観た後には月組映像を観れていないのです。だから、記憶違いの部分も多いにあるかもしれません。

まず、ロナンの妹ソレーヌ。こんなに出番あるんだ?!パレロワイヤルで兄と再会した時は、夜の女にしてもメイクが濃すぎるし、パン屋はかわいそう。正直ヅカ版では印象が薄かったから、この役ではソニンちゃんの持ち腐れではと思ってたけど、ソニンちゃん有効活用すぎました。岡さん並みの濃さ。

ラマールも、一人で笑いをかっさらっててサカケンさんズルすぎる。帝劇千秋楽のカーテンコール映像を観ていて、何がテントウムシなのか?と不思議だったから、登場した時には思わず声が出ました(笑)月組版ではこの3人組はここまで濃いキャラじゃなかった記憶なので、オリジナルキャラを観ている気分でした。

シャルロットも、帝劇版の方が印象が強かったです。超出来る子シャルロット。ダントンとのやり取りもめちゃくちゃキュートで、ダントンのことも好きになりました。ダントンのあの「ええ声」はそれだけで好きになるけど。宝塚では本物の子役じゃないから子供だと思って見てなくて、その面白さに気付けてなかったのかもしれません。

Wキャストの違い

マチソワで2公演観て、オランプは両方さやちゃんでしたが、ロナンとマリー・アントワネットは両方観ることが出来ました。東宝ミュでWキャスト・トリプルキャストはよくありますが、そもそもジャニーズ以外の舞台をリピートすることがほぼ無いので、Wキャストを見比べて観たのは初めてだと思います。

ロナンの徹平くんと加藤くんは見た目から全然違いますよね。でも、どちらもロナンとして納得でした。ロベスピエール達と初めて会うシーン、腹を空かせて倒れるロナンを仲間として迎え入れるところで、徹平くんはあまりにも主人公みがある(例えるなら越前リョーマ)ので、彼には何かあると思わずにいられないし、加藤ロナンは育ちこそ貧しいながらもロベスピエールたちと同じにおいがする違和感から、仲間意識を持たずにいられない。

アントワネットは、昼の回は凰稀かなめさんでした。かなめさんの宝塚時代はお写真でしか見ていなくて、男役時代の歌声を知らなかったのだけど、女性としての歌声が思いのほか高くて可愛らしかったので、男役イメージとのギャップにビックリしました。
夜の回は花總まりさん。花總さんは雪組時代にエリザベートで観たことはあるけれど、それ以降舞台では観ていませんでした。ルックスや普段の話し方から想像するには清楚で儚げなイメージ。でしたが、アントワネットが登場するやいなや、その先入観は大いに裏切られました。「どうでもいい♪」と歌いながら、悪気もなくあっけらかんとした様子でギャンブルに興じるアントワネット。ポリニャック夫人にこそこそと話しかける表情も身内のような遠慮のなさで、かなめさんの高貴なアントワネットとは全然違って見えて、ひどく驚きました。
花總さんのアントワネットを観て思い出したのが、フランケンシュタインの怪物まーくんさん。初日に観た怪物はヒガシさんで、怪物なのに美しいし頭の良さが伝わってくるなと思ったのだけれど、次に観たまーくんさんの怪物は、スプーンの使い方も分からず癇癪を起こし雪にはしゃぐ、感情豊かな子供でした。舞台上で伸び伸びと演技する姿に、かなりの衝撃を受けたのです。
お花さまを観てまーくんさんを思い出すなんて、まー担病*2にもほどがあるし、本当に恐れ多いことですが、すごく楽しかったです…。

1789のどこが楽しかったか

帝劇でも梅芸でも大好評だったこの作品、そこまでウケた理由は何でしょうか。
そんなことが素人の私に考察できるわけがないので、私が何に食いついたのかを改めて考えてみます。
観に行くキッカケとなったのは「WaTの小池徹平くんが、小池先生演出のミュージカルで帝劇初座長」でしたし、徹平くんの回だけでなく加藤くんの回も確保したのは「徹平くんとのWキャスト」「お花さんのアントワネット」でした。月組1789を観て予習しなくちゃ!とまで思ったのは、製作発表で聴いた「サ・イラ・モナムール」が頭から離れなかったからです。月組1789を観て一番好きだったシーンはアントワネット初登場の「全てを賭けて」、曲も派手すぎる衣装も大好きでした。
元々、ミュージカルが好きって言うわりにフランス革命とか全然わかってなくて(ミュージカルを観るにおいてフランス革命って必須教養なところがある気がする)不朽の名作ベルばらにも食指が動かなかったんだけど、1789は衣装も音楽もダンスも現代的ですごく見やすい気がします。ストーリーは私にとってあまり重要ではないのかも。衣装・音楽・ダンスの中だと、間違いなく音楽が一番重要です。「サ・イナ・モナムール」でガツンと来なければここまで興味を持ってないし、映像と音楽があれば確実に音楽の方がリピートする。Wキャストとかクラップとか見所はたくさんあるはずだけど、私にとっては音楽が好みだったというのが一番大きかったのではないかと思っています。


『1789 -バスティーユの恋人たち-』プロモーション舞台映像


「1789 -バスティーユの恋人たち-」【製作発表記者会見(衣裳&歌唱披露)】


『1789 -バスティーユの恋人たち-』5月15日 昼の部 カーテンコール

公式動画があるって素晴らしい。まぁ見てくださいな。
5/15昼の部というのは帝劇の千秋楽公演です。カーテンコールではメインキャストが全員挨拶をしているのですが、雰囲気がすごくいいでしょう?この映像を梅芸の前に観たことで主役3人以外のキャストにも興味を持つことが出来たのでした。
コンサートツアーでも舞台公演でも千秋楽は超激戦になりますが、舞台の場合は特に、その目的ってかなりの割合でカーテンコールにあると思うのですよ。
そんな、皆がどうしても観たいと願ってやまないカーテンコールの映像を、すぐにネットに上げてくださる東宝様最高。
ジャニオタをしていると、ネット動画や画像はかなり深刻な問題なので、このような恩恵を受けることで改めて考えさせられてしまいます。

*1:小池修一郎先生のこと。宝塚の偉い演出家さん。

*2:どんな話題でもまーくんさんについて語りだす病気のこと