チケット転売問題についてジャニオタとして考えてみた2019

2年半ほど前、暇に任せてチケット転売サイトについて検討したことがあります。(暇だったんです)
チケット転売問題についてジャニオタとして考えてみた 【その1:要件定義編】 - 乙女スパイラル
チケット転売問題についてジャニオタとして考えてみた 【その2:対応案編】 - 乙女スパイラル

この2年半でジャニーズを取り巻くチケット事情は大きく変化しました。しかし、公式のチケット転売サイトはまだ無く、取り締まりは厳しくなりました。これまではブラックリスト入りで済んでいたのが一発退会処分になるという話も出てきており、ジャニオタたちは震えながらチケットを求めて西へ東へ彷徨っています。
現状のチケット事情を踏まえて、じゃあ一体ジャニオタは(というか私は)どんな公式チケット転売サイトが必要なのかを、再び考えてみようと思います。

ジャニーズのチケット販売の現状

(以前) 郵便振替の先払い / 紙チケ
(現状) Web申込 / QRコードと紙チケが混在 / QRコード : 入場時に座席判明、分配不可

郵便振替の先払い現場は、多分もうなくなったはず。さよなら郵便振替用紙!
FCのマイページで申込内容も確認できるし、当落確認も出来る!エライ!さよならナビダイヤル
当落メールも届くけれど時差があるので(当選分が先に送られてそう)、待ちきれなければ自分でマイページにアクセスして確認できます。私は経験ないけど、落選したはずの申込が復活当選することもあるらしい。
当選したらチケット代金を振り込むのですが、振込方法はPay-easyです。さよなら郵便振替用紙!(2回目)ネットバンキングで振り込めるので超助かります。
当選しても振り込まなければ落選扱いになるはずです。ペナルティーがあるという噂もありますが真偽のほどは分かりません。単純に振り込み忘れて泣きを見る人もそれなりにいるはずなので、それほど酷い目には遭わないと思いますが…。

申込めるチケットの枚数は公演によって異なります。名義人と同行者含めて2〜4枚が一般的。同行者の名前まで入力を求められ、かつ、同行者もFC会員でないといけないのはカウコンと嵐の今年のツアーくらいでしょうか。他は「同行者を決めた上で申し込むこと」というお約束になっているものの、名前の登録は不要ですし*1、FC会員以外でも構いません。

チケットの形式は、コンサートではQRコードと紙チケが混在しており、舞台は基本的に紙チケだと思われます。チケットの販売ルートをコン事務が独占している公演でないと、QRコードは導入できない模様。コンサートでもグループによってQRコードと紙チケが混在しますが、どのように判断されているかはわかりません。
QRコードは公演日数日前に名義人のマイページに表示されます。この時点でも席番は分からず、ドーム等の入場口が複数ある会場の場合には入場口のみが書かれています。立見の場合もこのタイミングで分かるのかな。入場の際にQRコードを提示すると、席番が印刷されたチケットを渡されます。
現時点では、同行者へのQRチケット分配機能は無いはずです。たまアリJr.祭りの時には分配できたのですが、大トラブルになりましたからね…。何が原因だったのかはわかりませんが、以降は分配機能は使われていません。

チケット転売サイトを利用する事例


改めて、どんな場合にチケット転売サイトを利用したいか、利用要件を確認しましょう。
申込時に想定していた名義人or同行者が入らなくなるケースとして、下記の理由が考えられるかと思います。

<チケットを譲る理由>
1) 同行者が行けなくなった
2) 名義人が行けなくなった
3) 同行者と同じ公演を申し込んで重複当選した
4) 同行者を決めずに多めに取った
5) 最初から名義人自身は入らず、別の人が入る(名義貸し)

5は本来ルール違反ですが、現実的には割とよくあるので挙げておきました。
さて、チケットが余った場合にどうするかというと、下記の手段が考えられます。

<余りチケットの譲り方>
a) 譲る(直接の知人に)
b) 譲る(ネットで募集)
c) 他公演と交換する(直接の知人と)
d) 他公演と交換する(ネットで募集)

大きく分けて「譲る」「交換」の2つがあり、その相手は「直接の知人」「ネットで募集」の2つあるということです。

せっかく当選したのに行けなくなるのは勿体ないので、できれば都合のいい公演と交換したいと考えるのが当たり前かと思います。
他によくあるのは、多ステするためにわざと多めにチケットを取ったり、重複して当選したチケットを交換に使うこと。
チケットという手持ちの札があれば、利害の一致する人とのチケット交換でWin-Winになる可能性が高まるのです。

チケット不正転売禁止法、チケット販売規約

上に挙げたのは全て「営利目的ではない」チケットの定価譲渡です。
2019年6月より施行される「チケット不正転売禁止法」においては「不正転売とは、興行主に事前の同意を得ずに反復継続の意思をもって行う有償譲渡であって、興行主等の販売価格を超える価格で特定興行入場券を転売することを意味します。」とあります。
チケットの高額転売が禁止に!~チケット不正転売禁止法 6月14日スタート | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
つまり、これで取り締まられるべきは「販売価格を超える価格で転売する」ケースであり、「販売価格で転売する」ケースは含まれていません。

しかし、ジャニーズ事務所の「チケット販売規約」においては「第9条 転売の禁止」として「目的・手段の如何を問わず(略)、チケットを第三者に転売し、有償・無償を問わず譲渡し、または当社所定の要件を充たす同行者以外の人物に利用させる行為、(略)チケット転売サイト等にチケットを出品もしくは提示する行為は、別途当社が定める場合を除きいずれも禁止します。」とあります。
また、「第6条 チケットの取替・変更・キャンセル」には「購入者の事情の変更による取替、変更、キャンセルはお受けできません」「本規約に定める場合その他正当な理由がある場合を除き、チケット代金等の払戻しには一切応じられません」とあります。
チケット販売規約 | Johnny's net

つまり、目的がどうあれ定価だろうが一度取ったチケットを第三者に譲渡することは禁止だし、事情があろうとも変更もキャンセルも受け付けないぞ!払戻すのは本規約に定める場合(「第8条 中止による払戻」を指すものと思われる)くらいだからな!と規約で宣言しているのです。
ただし、チケット転売サイトへの掲示は「別途当社が定める場合を除き」禁止とあるので、今後、何らかの転売の手段を設定する可能性はあるのかもしれません。

「チケット不正転売禁止法」の取締対象は「転売業で利益を得る行為」であるのに対して、ジャニーズ事務所の「チケット販売規約」において禁止しているのは「名義人自身が入らず第三者に転売する行為」であることが推測されます。ファミリーだと思ってチケットを融通してあげたのに自分は入らず横流しするなんてヒドイ!ということでしょうか。

どんな転売の手段が必要か

理由は色々あれど、チケットが余るのは勿体ないことです。チケットを譲れる正規の手段があれば、それを使って定価で譲りたいと考えている人がほとんどだと信じています。
もちろんレアなチケットを高値で売ろうとする人は無くならないでしょう。でも「チケット不正転売禁止法」で取り締まるためにも「不正転売」と「定価以下での転売」の色分けができた方が都合が良いと思います。だって実際は高値で売っていても「定価で取引しました」って口裏を合わせることも出来るじゃないですか。


<チケットを譲る理由>
1) 同行者が行けなくなった
2) 名義人が行けなくなった
3) 同行者と同じ公演を申し込んで重複当選した
4) 同行者を決めずに多めに取った
5) 最初から名義人自身は入らず、別の人が入る(名義貸し)

<余りチケットの譲り方>
a) 譲る(直接の知人に)
b) 譲る(ネットで募集)
c) 他公演と交換する(直接の知人と)
d) 他公演と交換する(ネットで募集)

上記の譲り要件を考慮して、公式で転売を実現するにはどのような仕様にしたらいいか考えてみました。

<チケット販売仕様>
◎申込

  • 同行者の名前を(FC会員であれば会員番号も)登録
  • 同行者が自分を名義人として同じ公演を申込んだ場合、両方の申込を無効とする(抽選時にチェック)

◎抽選

  • 当落結果は名義人にのみ通知
  • 当選の場合、名義人がチケット代金を当選分全て振込
  • 名義人のマイページの申込確認画面に申込時に登録した同行者情報が表示される
  • 同行者がFC会員の場合、同行者のマイページの申込確認画面にも当選した公演の情報が表示される

◎チケット送付

  • コンサート/演劇関わらずFC分は全てデジタルチケット(QRコード)
  • QRコードを公演日数日前に名義人のマイページに表示
  • 席番号がこの時点で判るか、入場時まで判らないようにするかは、公演ごとに判断される

◎チケット分配

  • 席番号の開示/未開示に関わらず分配可能
  • 同行者がFC会員の場合(申込時に会員番号を登録している場合)、名義人が同行者のチケットを事前に分配すると、同行者のマイページにQRコードが表示される
  • FC会員ではない同行者に分配する場合は、マイページで分配相手のメールアドレスを入力することで分配可能。メールを受け取った同行者は、自分の1枚分のQRコードを表示できる。
  • 分配した名義人のマイページには分配済情報が記録され、QRコードに紐づけられるのは未分配分のみ。
  • 分配の取消機能あり。取消された分配分のQRコードは無効となり、入場不可。

◎チケットを直接の知人に譲る場合 (a)

  • 名義人のマイページで入場者の変更可能(名義人、同行者どちらも)。FC会員の場合、会員番号も登録。但し、譲渡相手のFC会員がすでに同一公演のチケットを保有している場合は譲渡不可(システム側でエラーチェック)
  • 同行者が自分に分配されたチケットを他人に譲ることは不可

◎チケットの譲り先がない場合 (b)

  • 名義人のマイページから「譲渡」を指定可能。コンサート事務局側で該当公演の落選分から再抽選し、復活当選を連絡。
  • 譲渡チケットの代金は、公演終了後に手数料等を差し引いてコンサート事務局より返金

◎チケットを直接の知人との間で他公演のチケットに交換する場合 (c)

  • チケットを譲る場合(a)の手順をお互いのマイページで行う

◎他公演との交換相手をネットで探す場合 (d)

  • ネットで見つけた交換相手と連絡を取りながら(c)を行う

◎入場時

  • QRコードを提示すると席番号、入場者名が印字されたチケットが出力される。同行者にチケットを分配していない場合は全てのチケットに名義人の名前が印字される。
  • 本人確認のレベルは公演ごとで設定。例えばFC会員はマイページに顔写真を事前登録して、入場時に顔認証を行い、FC会員以外は別途顔写真を登録するとか、身分証明書の提示を必須にするなど。申込時から入場者が変更になっている場合のみ身分証明書の提示必須、というルールにしても良い。


…いかがでしょう?
思いつく限りで実現可能&導入しやすそうなレベル感を狙ってみました。
現行の仕様を変えずに公式転売システムだけ新規導入するのは有り得ないな、というのが私の感覚なので、同行者の名前は登録必須にして、本人確認を行うのなら入場者全員がチケットに印字された入場者本人であるかを確認されるべきではないかと考えました。転売に関しては、現行でも復活当選の仕組みがあるので、それに任せたら良いのでは?という案です。転売相手として善良な第三者を選ぶ自信はないけど、事務所が選んだ人が隣に入るのは許容できる。

上記のチケット仕様案におけるメリット/デメリット

◎メリット

  • 行けなくなった時のチケットの譲り先を自己責任で探さなくてもよい。自分の信頼の置ける人に譲れるならそれがベストだけど、心当たりがない場合、知らない人に譲ると転売などで悪用されるのが怖い。それならいっそのこと名義人としての権利は放棄したい。
  • 譲ってもらえるあてが無い人も、復活当選のチャンスが増える。

◎デメリット

  • 名義を借りている場合、毎回「名義人から譲渡してもらう」という手順が必要
  • 申込みしていない公演は復活当選の対象外
  • 交換相手をネットで探す場合は自己責任。詐欺られる場合もある。
  • これまでは複数の友人に誘ってもらって同行者として複数公演入れていたが、同行者の名前を登録することになると1公演しか取れなくなるのでは(実際どうなるかはわからない)
  • 自分が入る全公演できちんと入場者として自分の名前を登録したら、多ステしてるのがコン事務にバレそう(だからといって何かあるのかはわからない)
  • 演劇などFC以外のチケットの扱いがどうなるかわからない(私もわからない)(業界でなんとかしてくれ)


自分で考えた案のくせに、デメリットというより不安が多すぎた…。
名義貸しはルール違反と銘打ってるので、本気で取り締まりたかったら、名義人なのに一切自分で入ってなくて誰かに譲ってばかりの名義は「業として転売をしている」とみなされる、とかはあるかもしれない。
多ステ許すまじ派もある程度いると思うけれど、それをコン事務が許すかどうかは別問題なので、抽選ルールにどう反映されるかはコン事務次第ですよね。今年の嵐ツアーはFC限定&同行者記名必須ルールだから、なるべく全員が入れるよう配慮してるんだろうなと思います。

交換仕様がおざなりなのは、考えるのが面倒くさくなったからだけではなく、当選した人は交換で公演を増やしたり他の公演を探したり出来るのに、当選しないと元手がなくて高額チケットに手を出すしかない、という現状がよろしくないのではと憂いているからです。多ステは悪くない!しかし、1公演も入れない人が多ステする人を呪い殺したくなる気持ちもわかる。いや、殺すのはよくない。善良なファンの手を血で染めないためにも(物騒)、なんとかしたい。なんとか…。かと言って会場のキャパは有限なので、ライビュとか生配信とか円盤とか、何かしらの代替策も必要なのでしょうが…。

申し込んだ時に定めた同行者と名義人が入るのが大前提で、チケットを譲らなきゃいけなくなるのは本来はイレギュラーな事態のはずなのです。各人のイレギュラーにいちいち事務対応するのは煩雑すぎますが、だからと言って全面禁止するのではなく、システム化しておくべきでしょう。譲るにしても譲ってもらうにしても正々堂々とするのがあるべき姿な気がします。
公式が個人譲渡の仕組みを整備しても、チケットを譲るのと引き換えに金銭を要求する転売ヤーは無くならないとは思います。ただ、それを取り締まるためにも、チケットの流れはシステムである程度トレースできた方が良いのではないでしょうか。

*1:嵐の過去のツアーは同行者の名前を登録しないといけなかったので、他にもあるのかも。私はお一人様が多いので…