アナ雪・バババ・プピコン

アイドルのグループ仕事と個人仕事の両立において、スケジュール調整は大きな課題です。一部のメンバーが舞台出演や映画撮影で拘束されていると、グループ全員が揃う仕事が出来ないからです。
V6は毎年6~9月期に放送されるドラマ「特捜9」の主題歌をシングルリリースするのが活動の軸となっていたため、個人仕事をする時期もだいたい決まっていて、その同じ時期に複数の個人舞台をぶつけるため、V6ファンはスケジュール調整に頭を悩ませていました。
V6は解散したというのに、なぜか相変わらず同時期にぶつけられた舞台2件とソロツアー1件で、ブイの一族のファンは取捨選択を迫られる事態となり、本人たちもメンバーの舞台やライブを観に行けない(イノもドラマ撮影で拘束されていて観に行けない)という状況になりました。なんとかしてくれよ。

凍える

凍える | PARCO STAGE -パルコステージ-
原題「FROZEN」なので「アナ雪」と呼んでいましたが、ストレートプレイです。
私はストプレよりも圧倒的にミュージカルの方が好きなので、ストプレ現場ではテンションが落ち着きがちなのだけど、「ストプレは嫌だ、ミュージカルだけ出てくれればいいのに」というわけでもありません。ミュージカル俳優であるためには演技力が必要だし、ストプレでも演技力を認められる舞台俳優さんであってほしい、と願っています。

「君が人生の時」に出演が決まった時にもさんざん語ったので割愛するけれど、「パルコ・プロデュースの作品に呼んでもらえて嬉しい」というのが舞台情報を知った時の最初の感想でした。
pritznn.hatenablog.com
パルコはジャニーズ主演作品も割とあるので、そこまで敷居が高いわけでもないのかなと思いつつ、まーくんさんはこれまでご縁がなかったのでした。パルコ劇場も初舞台の阿国以来らしい。どのように舞台出演が決まるのかは正直想像でしかないのだけれど、事務所が企画した舞台仕事よりも、外部で企画された舞台に役者として出演依頼される方が絶対いい。
ちなみに次に出た感想は「座組みも題材もめちゃハードじゃない?!」でした。3人舞台で、共演の鈴木杏ちゃんも長野里美さんもバリバリ実力派の舞台俳優さんです。シリアスな内容で、この2人と演技力で戦わなくちゃいけないの凄くしんどそう!と震えました。
まーくんさんの舞台における演技力はわりと信頼している方だし、演技力で認められて欲しいとは願ってるけど、それにしても敵が強すぎる…。

まーくんさんの役は「連続児童殺人犯」で、子供が殺されるのも性的暴行も生理的に嫌すぎるので、繰り返し見たい題材ではないな、とも感じました。みんな大好きスリルミーも、子供を殺すのが嫌すぎてしんどい記憶が強いです。ストプレだからというのもありますが、東京公演1回+兵庫公演1回の計2回しか見ていません。チケットが取れなかったのではなく、取りませんでした。

加害者のラルフ、被害者の母ナンシー、精神科医のアニータ。3人舞台だけど前半は3人の独白であり、後半も2人ずつの対話はあるが3人が集まることはない。アニータは精神科医の立場で犯罪者のラルフにかかわるが、自らも何かの罪を抱えている。事前に把握していた内容はこの程度でしたが、独白部分にさほど違和感をおぼえることもなく、誰かに強烈に嫌な感情を抱くこともなく、冷静に観ることができたと思います。
「連続児童殺人犯」は、残念ながらわりとよくいる存在です。殺人に至らずとも、幼女への性加害は数多くある感覚です。ラルフは、幼少期に自らも父親から性的虐待を受けた過去があり、その影響か、大脳の前頭前野の機能障害が認められます。何のためらいもなく殺人を犯したのはこの疾病が起因していると考えられます。さてこの犯罪者を許すことはできるだろうか。
舞台の中で繰り返し出てくる言葉に「疾病による犯罪は症状である」「許す」があります。ナンシーはラルフに対面して「あなたを許します」と言いますが、「許す」とはどのような感情なのでしょう。被害者が加害者に対して「謝罪の言葉」を求めることと「許す」ことはイコールではありません。
ラルフの口癖である「あったりまえ」と「口がすべった ごめんあそばせ」は、ラルフの幼少期を理解する手がかりになりそうです。
書き切れませんが、考えさせられることが多すぎて頭がフル回転だったので、怖いとか苛立ちとかそういう感情が出てこなかったのかもしれません。殺人に関しても、スリルミーと比較すると(全然良くないけど)しょうがないなぁと思えてしまったため、腹が立つこともなかったです。ラルフのように疾病があるわけでもないのに犯罪をおかす人や、幼少期のラルフのような虐待を受ける子供をどうしたら無くせるのだろう、ということを考えていました。
パンフレットに犯罪心理学と刑事司法の観点から専門家のコメントが寄せられていたのがとても参考になりました。

まーくんさんがコロナ陽性になってしまったため、東京公演の千秋楽だけが休演になりました。大所帯のOZが完走できても、3人舞台のアナ雪は止まってしまう。こればかりはタイミングの問題なので仕方ないですね。

バババ

ブロードウェイ・ミュージカル「バイ・バイ・バーディー」公式サイト
「バイ・バイ・バーディー」略してバババ。
ひろしは今回が「ミュージカル単独初主演」だそうで、「プロデューサーズ」も「フォーエヴァープラッド」も言われてみれば単独ではない!と驚きました。この芸歴でまだ初めてが残っていたとは。
確かにひろし演じるアルバートが主演ではありますが、見せ場が多いのは圧倒的に霧矢大夢さん演じるローズです。「妄想アルバート処刑ダンス」が最高。きりやんさんはピピンに出演していたためバババの稽古に遅れて合流されたそうで、大変なことです。


テラも共演していましたが、ちょっとおいしいところのある脇役、という立ち位置で、主演級でなくても小回り良くいろんな作品にフィットする役者さんになってるな~と感じました。それもまたよし。若手キャストも含めてみんな歌もダンスもパワフル系だったので、ひろしの柔らかい歌声に若干不安を感じましたが、ダンスのキレは抜群でした。
アナ雪と同日に観劇した時には、あまりのテンションの違いにくらくらしました。とにかく楽しい!面白い!なミュージカルです。

プピコン

KEN MIYAKE |MENT RECORDING
ミニアルバム「NEWWW」を引っ提げた健くんのソロツアー。ペンライトのくまさんがプピプピ鳴くのでプピコン。
ツアー発表前に配信ライブでグッズのバッグの素材をアンケートしたり、クリアファイルとポスターどっちが欲しいかアンケートしたり、ジャニーズショップのインスタアカウントでのツアーグッズ紹介投稿に自らモデルとして出演したり、グッズ紹介のインスタライブをしたりと、新しい取り組みをいろいろ試していたのが印象的です。
本当はツアーが始まる直前にアルバムが発売されるはずでしたが、健くんがコロナに感染してしまい(スタッフさんたちも感染していたらしい)製作スケジュールに支障が出てしまったため、ツアー終了後発売に変更。アルバム特典の一つであった「抽選でライブリハーサル招待」は「全員ライブリハーサル動画視聴&抽選で色紙プレゼント」に変更されました。アイデアマンすぎる。

元々健くんはV6の中でもダントツにV6への思い入れが強く、それはアルバムタイトル「NEWWW」にも表れているのだけど、ライブのセットリストもソロ楽曲とV6楽曲が混ざった健くんらしい構成になっていました。
V6楽曲は当然健くん一人のボーカルになっていて、6人で歌い分けしていた楽曲を1人で全て歌いこなすことの凄さに感動しながら観ていたのですが、ラストの方の映像の中で健くんが運転する車のカーステレオから流れてきたのは、V6の「意味のないドライブ」でした。ステレオから流れる音楽なので、これは健くん一人ではなく元々の6人で歌った音源が流れていて、そんなやり方で6人を再現させる…?!と驚愕しました。6人バージョンの音源を使う説得力。元々健くんは車を運転するキャラではないので(V6には他に運転手役がいるし、健くんは運転が苦手なキャラだった)、今回のアルバムやツアー関連のグラビアで自ら運転する姿があるのに微かな違和感を覚えていたのだけど、ここに繋がってるのか!と謎が解けました。
ソロのアルバム曲はどれもおしゃれだし、YOSHIEさん自ら帯同してくださったダンサーチームも素晴らしいし、MCはきみまろだしで、大満足のライブでした。あ、本人はライブじゃなくてコンサートって呼びたかったらしいです。アイドルがやるのはライブじゃなくてコンサートなんだって。