Endless SHOCK 2017 帝劇

3月末の帝劇千秋楽で上演1500回を迎えたSHOCK。2000年のMILLENNIUM SHOCKと比べると全然別物だろうけど「SHOCKシリーズ」として、こーさま単独主演で上演1500回というのは間違いなく凄い記録です。このままだと2021年くらいには2000回に到達しそう。その頃こーさま42歳か…。
去年は帝劇しかありませんでしたが、今年の秋にはまた地方公演が予定されています。稽古期間も含めるとほぼ6ヶ月。これをシングルキャスト*1でこなすのは大変なことです。休演日もあるけど、マチソワの日もそこそこあるからね?!しかも、ダンスに太鼓に殺陣がてんこ盛り!座長はフライングも階段落ちもするよ!普通の舞台でも長期間続けるとなると大変だろうに、SHOCKは比べ物にならないくらいのパワーが必要な演目だろうことは言うまでもありません。

さて。SHOCK自体はほぼ毎年観てるし、でも細かい演出に注目する観察力もなければ、昨年との違いを語れる記憶力もないので、いつものように「SHOCKを見て考えたこと」について書きます。

Endless SHOCKの変遷

Endlessになってからはエンドレスに同じ演目を続けていますが、実は毎年少しずつ変化しています。私も毎年観ているわけではないし、いつ何がどう変わったのか記憶が曖昧すぎるので、ウィキペディアで調べて簡単に纏めてみました。

  • 2005年

1〜2月帝劇
ライバル:ツバサ/リョウ、オーナー:アキヤマ
A.B.C.、MA、ゅぅゃ、裕翔、有岡

  • 2006年

2〜3月帝劇
ライバル:ツバサ/リョウ、オーナー:アキヤマ
MA、ふぉゆ

  • 2007年

1〜2月帝劇
ライバル:トウマ、オーナー:アキヤマ
MA、ふぉゆ

  • 2008年

1〜2月帝劇
菊田演劇大賞を受賞
ライバル:ヤラ、オーナー:オオクラ
米町、ふぉゆ

  • 2009年

2〜3月帝劇
ライバル:ヤラ、オーナー:ウエクサ
米町、ふぉゆ

  • 2010年

2〜3月帝劇+7月帝劇の全100回公演
ライバル:ヤラ/ウチ、オーナー:ウエクサ
米町、ふぉゆ

  • 2011年

2〜3月帝劇
3.11以降中止*2
ライバル:ウチ、オーナー:ウエクサ
米町、ふぉゆ

  • 2012年

1月博多座、2〜4月帝劇
ONE DAY、higher追加
ライバル:ウチ、オーナー:ウエクサ
さーやリカ
米町、ふぉゆ

  • 2013年

2〜3月帝劇、4月博多座、9月梅芸
米町が抜け、優太、山亮が加入
上演1000回
ライバル:ヤラ/ウチ、オーナー:ビバリ
ふぉゆ

  • 2014年

2〜3月帝劇、9月梅芸、10月博多座
コンティニュー 変更
ライバル:ヤラ/ウチ、オーナー:モリクミ
最年少:優太/大吾
ふぉゆ、山亮

  • 2015年

2〜3月帝劇、9月梅芸、10月博多座
ダンシングオンブロードウェイ、ミッシングハート 追加
野澤、諸星、岸孝良、海斗が加入
LEDパネル事故
美波里さん骨折
ライバル:ヤラ/ウチ、オーナー:ビバリ/ウエクサ
最年少:ユウタ/カイト
ふぉゆ:福田、越岡/辰巳、松崎

  • 2016年

2〜3月帝劇
ライバル:ヤラ、オーナー:ビバリ
最年少:カイト
ふぉゆ:辰巳、越岡/福田、松崎
野澤、諸星、岸孝良

  • 2017年

2〜3月帝劇 (9月梅芸、10月博多座)
Jr.オーディションで選考。浜中は隠し玉として後から追加。
ライバル:ヤラ、オーナー:ビバリ
最年少:カイト
ふぉゆ:福田、松崎
浜中、寺西、元太

私が見始めたのは2007年の斗真ライバルで、この頃はまだ「今年のライバルは誰だろう?」という感覚でした。キンキFC枠での申込締切後に、制作発表で初めてライバルキャストが発表されたんじゃなかっただろうか。「最近はライバルが固定化されている」という声も少なくないけど、逆に屋良、内じゃなかったのは最初の3年の翼、錦戸、斗真だけ。意外だ。

最初の変化は2008年にオーナーが秋山じゃなくなった*3ことじゃないでしょうか。この年の大倉オーナーのことはあまり印象にない、と光一さんはどこかで言ってましたが、劇場で一緒に育った感が薄い、新しいオーナー像だった気がします。
2009〜2012年の植草オーナーは、それまで最年長兼リーダーとしてカンパニーを1人で引っ張ってきたコウイチを助ける役割として効果的でしたし、2013年からの美波里さんモリクミさんの女性オーナーは、ショービジネスの先輩かつカンパニーの母親的存在としての役目を果たしています。

2013年は、女性オーナーになるとともに、米花/町田の離脱、岸優太の加入という変化もありました。上演1000回を迎えたこの年、実はかなり大きく変化していたんですね。優太は現在Princeとして活躍する人気Jr.ですが、当時も結構人気があって、優太目当てに初めてSHOCKを観に来るJr.担さんも多かった気がします。Jr.としてはMAとふぉ〜ゆ〜がずっと出演していましたが、ずっと同じメンバーのため、新たな層を呼び込むという面では弱かった。以降、参加するJr.の数は増えています。元々SHOCKのカンパニーは「劇場で小さい頃から一緒に育ってきた仲間たち」という設定であったけれど、優太加入後は、カンパニーの中に若い世代が入ってきました。と同時に、客層にも若い世代が入ってきています。

2012年には初めて帝劇以外で上演されました。帝劇まで遠征しづらい地方民にも、SHOCKを観られる機会ができました。SHOCKの拘束時間が長くなることは、出演者さんの体力的な負担や他の仕事への影響もあるので、一概に良いことばかりではありません。シングルキャストのため、逆にこの拘束時間がネックで参加できない人もいるでしょう。Jr.オーディションでも、実力はあっても他の仕事(横アリJr.祭とか)のため参加できないJr.がいたという話がありました。残念なことだなぁ。

楽曲も少しずつ変わっています。ダンスも素晴らしいのですが、楽曲だけでもどれも聴き応えがあるはずなので、新しくサントラが出るのがとても楽しみ。

宣伝について

今年は上演1500回だからかキンキ20周年だからか、SHOCKの広報活動が例年に比べて活発だった気がします。読売新聞の記事展、ゲネプロの学生招待、関ジャム出演、めざましテレビの取材、サントラCD発売などなど。

「日本一チケットが取れない舞台」と言われますが、他にも激戦現場を知っているオタクの体感的には、正直それほどではありません。私は1回行ければ満足なので、キンキFCで申込めば1回は行けるし、それで満足です。
評判の舞台だと当日券に挑むという手段もありますが、SHOCKは一般向けの当日券枠はありません。キンキFCでは「特別登録受付」というものがあり、席が確保できると連絡してもらえるそうですが、あくまでFC会員向けです。
ジャニーズFC以外にもプレイガイドや劇場枠、カード先行など、前売りであればチケットを確保する手段はあります。オタクはそのあたりもバッチリ抑えているので、本気出したオタクに対抗して一般の方がチケットを取るのはやはり簡単ではありませんが、無理ゲーでもありません。SHOCKの評判を聞いて「一度観てみたい」と思われた方は、ぜひ駄目元でチャレンジしていただきたい。周りにキンキ担かJr.担がいるなら「観てみたい〜」と呟いておくと突然「チケットあるよ」と誘われる可能性もあります。

Endless SHOCKがエンドレスになった利点としては、「階段落ち」「フライング」といった見所が、次回もほぼ間違いなく観られるということです。「レミゼ」「エリザベート」といった有名な作品や劇団四季が長年人気なのは、作品のクオリティが保証されているからです。Endless SHOCKを実際に観たことがある人は一握りだとしても、様々な方の感想や劇評、宣伝などで内容が紹介されているので、そのクオリティは多くの人が知っています。「三分に一度の衝撃」というコピーのとおり、階段落ちもフライングもコウイチが死ぬことも、知らない方が衝撃は大きいはずですが、知っていたからといって感動が薄れるものではありません。私が初見の時も、大体のストーリーや見せ場は知った上で観劇しましたが、逆に、見せ場だと思っていたフライングがストーリーの流れの一つとして自然に消化されてしまうことに衝撃を受けました。あと、劇場で観る前にDVDでも観ていたのですが、生の迫力は段違いでした。劇中劇構成なので、ストーリー解釈を重視する方なら全く予備知識無く観ると消化不良になる可能性が高いので、事前にざっくり流れを予習しておくのが良いかと思います。ストーリーを気にしないのなら大丈夫。

SHOCKはミュージカルなのかショーなのか

SHOCKは「日本の数少ないオリジナルミュージカル」として紹介されますが、それでも見せ場はショー部分にあるかと思います。ミュージカルとショーの違いを語るのは難しくて、それは定義が曖昧だからなのと、SHOCKのようにミュージカルの中にショー的要素を持つ作品が少なくないからです。
私の中でのザックリ定義として、ミュージカルは「ストーリーがあり、演出として音楽が多用されるもの」ショーは「歌や踊り、パフォーマンスなどを見せるもの」。その定義でいくと、先日のトニセン舞台「戸惑いの惑星」もミュージカルと言って差し支えなさそうですが、うーーん。まぁ、それは置いておきましょう。

定義なんてどうでも良くて、要は自分の好みかどうかという話です。ショーの良いところは、舞台の背景も歌詞の意味も理解できなくても楽しめるところです。これは老若男女言語関係なく、好きなら好きと言えるので、ヒロムの目指すグローバルな世界に相応しいかと思います。
ヒロムは自分が作ってるのはミュージカルだと言うけれど、ストーリーを追おうとすると混乱するトンチキ舞台(褒めてる)なので、「ざっくりしたあらすじのあるショー」だと考えた方が精神安定上良いかと思います。

SHOCKも元々はヒロムの作った作品なので「考えるな、感じろ」な内容だったようですが(私はリアルタイムで見ていないので)、こーさまが演出に参画するようになったEndlessではストーリーやキャラクターに大幅に手が入り、ミュージカルと呼べるものになったかと思います。あくまで私の定義によると、ですが。

日本でもミュージカル人気は高まってきていますが、ブロードウェイやフランスなど外国で上演された作品の翻訳ものがほとんどで、オリジナルミュージカルは一握りです。翻訳ものは、音楽や演出やダンスなどをオリジナルのままにしなくてはいけない契約になっているケースもあり、自由度が低いそうです。その点オリジナルミュージカルは自由に変えていけるところが利点です。「日本発のオリジナルミュージカルを世界に」とミュージカル界でもよく言われますし、SHOCKも世界に評価されると素晴らしいなと思います。

変わって良かった点と、変えたらどうかと思っている点(※あくまで私の好みの話)

DVDはめったに発売されませんが、資料用の撮影は毎公演していて、座長兼演出のこーさまは毎公演の映像をチェックし、公演期間中もブラッシュアップされるそうです。とは言え、私は期間中一回しか観ないので変化に気付けないのですが…。
Endlessになってからも毎年様々な変化がありましたが、今年の帝劇を観て感じた変化について書き残しておこうと思います。全て個人の意見です。

昨年ブンブブーンの体力測定で一念発起し筋肉ムキムキになったこーさま。その成果なのか声も太くなっていて、とても安定感ある歌声になっていました。最初のフライング失敗シーンでマトモに音程取れてるのは久しぶりだし、コンティニューはこーさまの声量が周りに負けてなくて、去年よりバランスの良いハーモニーになってました。今年はアンサンブルをかなり入れ替えて、ボーカル層を厚くしたそうなので、その効果もあるのかもしれません。コンティニューは毎年どんどん理想に近付いている感じ。
ミッシングハートは、2人の感情が歌に乗っていて、これぞミュージカル!な仕上がりになっていました。これも理想に近付いているはずなのに、まだどうしても違和感が拭えなくて、その理由を自分なりに考えてみました。ひとつは、以前にも書いたんだけど、歌詞がメロディに対して字余りだから、台詞を無理やり歌に乗せてる感が否めない点。もう一つは、楽屋の鏡台とソファーの前というリアリティーある空間で、さっきまで普通に喋っていた人たちが突然歌い出すミュージカルあるある感。ミュージカルが苦手な人ならともかく、ミュー慣れしてる私でも違和感あるので、これは演出的に何か解決策があるはず。例えば、楽屋ではない別次元(楽屋空間を暗くして2人だけに照明を当てるとか)でお互いそれぞれ独白として歌うとか。やりたいことは分かるだけにもどかしくて、おせっかいながらも、ついアレコレ考えてしまいます。
色々変わっていくのに何故か変わらない「車マジック」。流れが良くないから止めればいいのにと個人的には思ってるのですが、契約面でやらなきゃいけないとかなんですかね?知りませんが。せめて車がもう少しカッコよくなればストレスも減るのでは、という妥協案。あの車のデザインでこーさまは納得なの?!
何故か変わらないその2・階段落ち後の音楽。幕が降りる時の「チャラララ、チャララ」という緊張感あるメロディ(私の表現では緊張感がない)は良いんです。その前のもの悲しげな音楽、あれ、浮いてませんか?ずーっと気になってるけど一向に変わらないから、気になってるのは私だけなのかも。繰り返しますが、これはdisではなく個人の好みの話です。
多くの方が仰ってますが、文ちゃんの参加は良い効果をもたらしたように思います。本人のキャラの濃さに反して自然な演技で、変に目を惹くことなく、カンパニーに今までいなかった役どころを演じていました。「変に目を惹くことなく印象に残る自然な演技」って意外と難しいと思うんです。変な節の付いた台詞まわしやオーバーアクションを「ミュージカル演技」と言ったりするけれど、決してミュージカルではミュージカル演技をしなくちゃいけないわけじゃなくて、作品の空気感に合っていれば良い。見ていて違和感があるのなら、それは「なんか違う」ということかもしれません。あくまで個人の好みの問題ではあるけれど。ミュージカル演技が苦手だからストレートプレイは好きだけどミュージカルは嫌い、という方もいるだろうし、そんな理由で嫌われるのももったいない。ストプレにも立つミュージカル俳優さんも多いので、演技という面では共通しているはずだと思っています。


こーさまには、SHOCK以外の舞台にも立って欲しいとずっと願っているんだけど、なかなか叶いません。東宝さんがFF的な新作を考えたことがあるけど「ジャニーさんを超えられない」と頓挫したらしいとか、井上芳雄くんと何かやろうという話が出たこともあるけど流れちゃったとか、「SHOCK以外の舞台を」ということを本人たちも考えてないわけじゃないんだと分かっただけでも安心できます。でも、Endless SHOCKの認知度を考えると、日本のオリジナルミュージカルとして続けて欲しい演目でもある。もちろんKinKi Kidsとしてももっと活動して欲しいし、こーさまソロコンの独特な世界観をめちゃくちゃ愛しています。あぁ、こーさまが5人居ればいいのに。そしたら1人くらいゲーム廃人になっていてもいい。

どのこーさまを望むかは人それぞれ好みがあるし、こーさまは残念ながら1人しかいないから難しいけど、なるべく多くの人が幸せに、そして何よりこーさまが幸せになれますように。こーさまが満足のいくお仕事をして欲しいなと願っています。

*1:帝劇と地方でキャストが変わる場合や、月毎で変わる場合はあるけれど、基本的にはどのキャストもシングル。

*2:「5分でわかるEndless SHOCK」という最高コンテンツが期間限定で公開される。

*3:諸般の事情で