ザ・ミュージック・マン 序章

東宝ミュを拗らせ続けたまー担人生でした。
「この人なんでこんなに拗らせてるんだろう」と不審に思われていた方も少なくないでしょう。私自身わけがわかりません。自己紹介代わりに書いたものがあるので、詳しくはこちらをどうぞ。(7年前…)
pritznn.hatenablog.com

2009年の「ゾロ・ザ・ミュージカル」で初めて東宝ミュに出演したまーくんさんですが、経緯としては、俳優仲間からゾロのオーディションがあることを聞き、事務所に受けてもいいか訊いてみたらOKが出たのだそうです。ということは、事務所からオーディションの話が来たわけではないようです。
ちなみに、ミュージカルのキャスティングにはいろいろあって(私も詳しくはないのですが)、
・プロデューサーが役に合った俳優にオファーするケース
・上記でオファーした俳優で良いかを本国クリエイティブスタッフにオーディションしてもらうケース
・候補キャストとして何人かの俳優を選んでその中からオーディションで選考するケース
・公開オーディションとして事務所問わず応募できるケース
・事務所に非公開オーディションの話が来て受けるケース
などがあります。一般的にオーディションのイメージは下2つのケースでしょうが、ミュージカルの場合はいろんなパターンがあります。ただ、海外ミュなら必ずオーディションがあるというものでもなく、全てカンパニー次第です。
私がまーじかる(まーくんさんのミュージカルのこと)を観るようになったのは2005年以降ですが、オーディションで決まったと聞いたのはゾロザくらいじゃないでしょうか。トプハがどう決まったかは分かりません。相手役の多部ちゃんがオーディションを受けているので、まーくんさんも受けたとは思うのですが。

長々とオーディションの話をしてしまったのは、ミュージカルのお仕事ってどうやって決まるのかな、という疑問を整理したかったからです。
なんやかんや書きましたが、例えばまーくんさんの場合「主催・製作/東京グローブ座」と書かれている作品は全てオーディションではなく、まーくんさんありきで事務所が企画した作品です。(例: THE BOY FROM OZ(2022年))
2003年以降にグローブ座で上演された作品のうち、フジテレビジョン主催とあるものも事務所が主導している企画と思われます。2005年のOZ初演はフジテレビ主催で青山劇場で上演されていますが、やはり事務所主導でしょう。この時期は「劇団演技者」もあり、フジテレビとジャニーズ演劇の距離が近かったのでした。グローブ座が舞台製作にも携わるようになってからは、2011年のゾロザを除いてグローブ座製作の作品が続きます。

私が観てきた2005年以降のまーくんさんの舞台出演を列挙してみます。

2005年 ネバゴナダンス / THE BOY FROM OZ
2006年 THE BOY FROM OZ
2007年 NO MAN'S LAND(ストプレ) / オールシュックアップ
2008年 THE BOY FROM OZ
2009年 オールシュックアップ
2010年 アリバイのない天使(ストプレ) / Pal Joey
2011年 ゾロ・ザ・ミュージカル : 東宝
2012年 MY ONE AND ONLY
2013年 シルバースプーンに映る月 / フランケンシュタイン(ストプレ)
2014年 ON THE TOWN
2016年 ONE MAN STANDING(コンサート) / マーダーフォートゥー : テレ朝・シーエイティー 
2017年 戸惑いの惑星(TTT) / 君が人生の時(ストプレ) : 新国立劇場
2018年 TOP HAT : 梅田芸術劇場
2019年 ONE MAN STANDING(コンサート) / カノトイハナサガモノラ(TTT)
2020年 THE BOY FROM OZ(中止)
2021年 Oslo(ストプレ) : フジ・産経・サンライズプロモーション東京
2022年 マーダーフォートゥー : テレ朝・シーエイティー/ THE BOY FROM OZ / 凍える(ストプレ)
2023年 ザ・ミュージック・マン : 東宝 / キャメロット : 松竹

2016年のマーダー以降は、グローブ座主催のミュージカル作品はありません。また、2014年までは毎年ミュージカルをやっていたのが、2016年以降は1年おきになっています。その代わり、トニセンのTTTやOMS、ストレートプレイにも出ているので、スケジュール的にはこんなものかなという感じはあります。
まーくんさんに限らず、2015年以降はグローブ座単独で海外ミュージカルを主催・製作することがなくなっているようです。そのあたりも、グローブ座主催作品が減った理由なのかもしれません。他社と共同で主催する作品もありますが、小瀧くんや丸山くんなど後輩が主演しています*1。2022年のOZはグローブ座単独主催ですが、2005~2008年版から主要キャストもスタッフもほぼ変わっていないので、フジテレビ主催だった当時の繋がりで上演できたのかなと思っています。

2016年のマーダー初演では、読売演劇大賞優秀賞を受賞しました。2022年はOZと凍えるで、読売演劇大賞優秀賞と菊田一夫演劇賞を受賞しました。
坂本昌行、菊田一夫演劇賞受賞に喜びコメント「東山さんにいただいた言葉がまさにいま現実に」 - スポーツ報知
菊田一夫演劇賞のコメントで、まーくんさんは『がんばっていれば、人は必ずみてくれている』と話していました。それは確かにそうかもしれないけれど、2016年のマーダーで受賞した時に、2005年から10年間毎年ミュージカルの舞台に主演として立ってきたまーくんさんが、ゾロザぶりに立ったグローブ座主催以外の舞台で読売演劇大賞を受賞できたのは、もしかしてグローブ座舞台じゃなかったから審査員に観てもらえたのでは、と考えてしまいました。*2いや、これまでのグローブ座舞台の内容には不満はないんですよ。でもこの時「やっとジャニオタ(と共演者のファン)以外の人からみてもらえた」と感じたのでした。そのくらい、まーくんさんがミュージカルファンに観てもらえている実感がなかったのです。グローブ座舞台だってプレイガイドでチケットが買えるし、宣伝もしているし、決してジャニオタ以外が観れないわけではないのに。

マーダーで読売演劇大賞優秀賞を受賞した翌年の2017年は、ミュージカルへの出演はありませんでしたが、WOWOWトニー賞授賞式番組にゲスト出演しました。芳雄くんとのオープニングアクトでララランドを弾き歌い踊り。どんな経緯で声がかかったのか分かりませんが(2015年のV6 20周年コンがWOWOWで放送されたので、その縁もあるのかも)、ミュージカルファンに知られているわけがないと思い込んでいる卑屈な私は仰天しました。
2018年にTOP HATでオーブに立てたのも嬉しかったです。オーブは日生より帝劇より座席数が多いので、いろんな方に観てもらいやすい。実際、いつものまーじかるとは少し客層が違う気がして、TOP HATという作品目当てで観に来られた方もいらっしゃったのではと感じました。相手役の多部ちゃんはオーディションの話をしていたので、まーくんさんもキャスト決定までにオーディションを受けているとは思うのですが、そのあたりのエピソードは聞いた記憶がありません。絶対にまーくんさんに似合う役だと以前から思っていたので、実際に決まって嬉しかったです。
あと、2022年のマーダー再演で相手役が海宝先生になったことで、目の肥えた海宝先生のファン(いっぱいいる)に観ていただき、好意的な感想を多く目にしたことにも感動しました。「坂本さんの舞台を初めて観た」と仰る方が多くて、やっぱりそうだよねとなりました。
2022年のTHE BOY FROM OZはグローブ座主催でしたがオーブでの上演で、共演にジャニーズJr.の末澤くんがいるとはいえ、どのくらい集客できるのかハラハラしていましたが、最終的には土日の当日券が激戦になる程度には埋まってホッとしました。2008年までとの大きな違いは、SNSを使う人が増えたことで、パブサするといろんな方が観に来てくださっていることが分かるようになった点です。やはり演目自体の知名度はないため、出演者目当てで観に来られた方がほとんどだとは感じましたが、V6ファンでも2008年以降にファンになったからOZは初めて観るという方も多かったですし、末澤くんの出演は2幕のみだったにも関わらず、リピートするJr.担さんも多く見受けられました。

そんなこんなで拗らせブログを書いてからの7年間は、ミュージカル作品の出演数が減ったわりに、それほど(当社比)拗らせずに過ごしてきましたが、解散したり結婚したりを経て、2022/12/3に「ザ・ミュージック・マン」の上演が発表されました。
www.tohostage.com
「ザ・ミュージック・マン」自体は古くからある作品で、日本でも直近だと2010年に西川貴教さん主演で上演されていますが、2021年からブロードウェイでヒュー・ジャックマン主演で再演されており、2022年のトニー賞にもノミネートされていてパフォーマンスも観ていました。(関係ないけど、ブロードウェイは終了した公演もPLAYBILLのサイトに情報がまとまっていて良すぎる)
https://musicmanonbroadway.com/musicmanonbroadway.com
playbill.com
ヒュー主演のOZをやったばかりだし、ザミュはトニー賞にノミネートされたばかり、しかも東宝ミュ、と話がうますぎて(?)、いつ誰がこの企画を立てたのか…と動揺してしまいました。ヒュー・ジャックマンと言えばまーくんさん、なんて言って通じるのはせいぜいブイ担くらいですが、ちょうどOZで読売演劇大賞の中間選考に名前があがったところなので、対外的にも説明しやすい。
いや、そんなことよりも、東宝ミュですよ!!
2011年のゾロザ以来全くご縁がなく、2018年に梅芸トプハで少し近付いた東宝に、2023年にしてようやく!
ここまでネチネチと何千字もかけて書いてきた文章で伝わるかと思いますが、私の願望は「まーじかるをより多くの人に観てもらうこと」「まーくんさんがミュージカルスターであることをより多くの人に知ってもらうこと」。まーくんさんのプロフィールに「ミュージカルで活躍」と書かれるたびに「そんなこと言ったってみんな観たことないでしょ」と歯ぎしりすること20年弱(←怖い)、私はとにかく「実感」が欲しかった。ミュージカルファンがまーくんさんの舞台を観たいと思ってくれること、ミュージカル界がまーくんさんに演じて欲しい役があること、事務所の営業力やジャニーズファンの集客力ではなく、ミュージカル俳優として求められる存在になって欲しいし、そんな存在であることを実感したかったのです。

東宝ミュと言っても「主催・東宝」と付いているだけで様々な作品があります。出演者だって大ベテランから初ミュージカルの方まで様々です。でも、東宝ミュには一定以上のクオリティが保証されているため、観たことのない作品・出演者であっても、東宝ミュだから観てみようかとチケットを買うか検討するミュージカルファンは一定数います。私個人としては、ストレートプレイにおいて新国立劇場やPARCOにも同様の信頼を寄せています。
また、東宝作品はFCやプレイガイド以外にカード枠や貸切公演など販路の広さも魅力です。ツイ廃的には、東宝演劇部アカウントも魅力的。舞台情報の発信だけでなく、Web媒体やスポーツ紙などのツイートをこまめにリツイートしてくれる。稽古場の様子やダイジェスト動画を上げてくれるYouTubeもあります。
youtu.be
youtu.be
これまでまーじかるは何一つ映像化も音源化もされていませんし、地上波音楽番組でミュージカル曲を歌うこともありませんでした。これでは、まーじかるを観たことがない方にどんなミュージカル俳優かを伝える術がない。東宝YouTubeは憧れの存在で目標でした。


まーくんさん12年ぶりの東宝ミュを前に、1~3月は14年ぶりのトニコンでした。
ニコンでは「素敵な夜」の前フリとして、「読売演劇大賞おめでとうございます」「ぼくもミュージカルやりたい」「東宝さんにつながりたい」「帝劇に立ちたい」というくだりがありました。
ちなみに、ひろしは1997年に「花影の花―大石内蔵助の妻」という作品で、大三郎・主税の二役で帝劇に立っています。*3まーくんさんも、1994年に「御いのち」という森光子さんと東山さんの作品に出演していたことにはなっていますが、付き人時代でほぼ黒子としての出演だったようです。イノは今年1月のジャニーズワールドで演出チームに入っていましたが、帝劇に出演したことはありません。まともに帝劇に立ったと言えるのは、実はひろしだけなのです。でも、ひろしはそんなこと自分から言わないので「帝劇に立ちたい~」「自分で言うのも何だけど、そこそこ実力あると思うんです」と言い合う二人を黙って見守るひろし、という構図になっていました。
ジャニーズタレントとしては、ジャニーズ舞台で帝劇に立つというルートももちろんあるわけですが、ここまで来たらまーくんさんにはちゃんとした(?)帝劇ミュに出て欲しいですよね。しかし、帝劇は2025年の一時休館が決まっています。恐らく、閉館までのだいたいの演目は決まっているはず。「帝劇に立ちたい」が何か決まった上での匂わせなのか、ただ純粋に願望を述べているだけなのか、全く読めませんが…。帝劇の前をうろうろしていたら東宝さんからスカウトされるかも、と言っていたので、スカウトされるまで帝劇の前をうろついてもらいましょう。
私がこの12年間、帝劇どころか東宝さんともつながれないまーくんさんのことを筆舌しがたい強い感情で見守って来たのに、突然「帝劇に立ちたい」とか言われても動揺してしまいます。まーくんさんが帝劇に立つために何が必要で何が妨げになっているのか、ダークサイドに堕ちかけるほどさんざん悩んできたのだから。
トニセンとしての人生は思ってたのと全然違うことになっているだろうから、来年以降どんな予定が入っているのか…ドキドキです。

*1:ザ・ビューティフル・ゲームヘドウィグドン・ジュアンハウ・トゥー・サクシード、などなど

*2:ちなみに2010年のPal Joeyでは読売演劇大賞の作品賞を取っているので、グローブ座舞台だから審査員に観てもらえないというのはただの僻みです。これは、なぜかネットに写真が上がっているゾロひげまーくんさん。 ゾロの発表が2010年8月でPal Joey上演が10月だったのは、受賞と何か関係あるのかな。

*3:当時はミュージカルがほぼなく、このような時代劇が主流だったようです。華やかな1997年 | あゝ平凡なる我が人生に幸あれ - 楽天ブログ