TOP HAT


2015年の宙組公演を受けての2016年1月の私のツイート。2年後には本当に決まってました。予言者!

私のマージカルへの呪い、もとい、並々ならぬ思い入れについてはリンクも貼りきれないくらい過去に何度も語っているので今回は省略します。このツイートからも拗らせてるのが伝わる。

初めて観たマージカルが2005年の「ネバゴナダンス」でした。これもフレッド・アステアの作品で、もちろんタップダンスがありました。その姿があまりに理想的なミュージカルスターだったために「この人を応援する!」と決意して今に至ります。ミュージカルの舞台に立つまーくんさんは、まさに水を得た魚。まさにフレッド・アステア。だから、TOP HATをまーくんさんがやるのは私にとっては当たり前だし、別の人がやってたら本気で呪ってましたよ…(メラメラ)

でも、それは裏を返せば「まーくんさんがTOP HATをやることには何の意外性もなく、容易に想像がつく」ということでもあり、そこまで全力で楽しめるかなぁ…とモヤモヤしてしまうのでした。め、めんどくせぇ。


5月1日の発表直後も早速拗らせていましたが、そう言えばこれまでのマージカルを振り返ってもアステア路線ばっかりってわけじゃないし、そもそもマージカルそれほどやってないし…(呪)ということを思い出して若干気を取り直し(?)、半年間を過ごしていました。

開幕までは期待しすぎないようにと予防線張ってたくせに、始まってしまえば「すっごい良かったよねええええ!!」と手のひら返して大喜び。ここまでで一連の拗らせプレイなので温かく見守ってください…。

多部ちゃんがすごい!

まーくんさんには何の意外性も無かった代わりに、多部ちゃんがキャスティングされていることにはめちゃくちゃ驚きました!

今年のSHOCKのリカ役は瀧本美織ちゃんで、映像畑の女優さんという驚きはあったものの、元々歌とダンスをやってたことは知っていたからそこまで意外でもなかったのでした。
でも、多部ちゃんが歌とダンスを出来るかなんて全く知らなかったし、こんな明らかに歌とタップダンスの比重が高い作品で初ミュージカルってマジすか?!と信じられない気持ちでした。

小さい頃からやりたかったミュージカルに30歳を前に挑戦したかった、と語っていましたが、そのためにお仕事セーブしてダンスのレッスンを受けてこの舞台に臨むって、相当な覚悟だと思うのですよ。だって、その期間でドラマや映画のお仕事をいくつも受けられる売れっ子女優さんだし、ミュージカルをやらなければ「ダンスは頑張ってるけど歌がまだまだねぇ」なんてことを素人に言われなくても済んだわけじゃないですか。それでもチャレンジしたのがすごい!

チャレンジ精神だけを称えたいわけではなく、もちろんデイル役としてすごく良かったです!確かに隣のビブラートのすごい人と比べると、どうしても歌い慣れていないなと感じてしまいますが。私は初日(11/5)には入ってなくて、最初に入ったのは11日なのだけど、その時点で初日に比べるとだいぶ歌えるようになったと言われていたし、公演を重ねるにつれて歌えるようになるということは単に場数の問題です。音程もリズムも問題なし。「マリア・カラスじゃないから綺麗に歌えないけど」ってデイルが歌うように、ジェリーはミュージカルスターだけどデイルはただのモデルだから、綺麗に歌えなくてもOK。もちろん台詞や演技は言うまでもありません。
ダンスが!本当に!すごくて!「多部ちゃんの身体の線を見て」ってまーくんさんも言ってましたが、言われるまでもなく釘付けですよ。なんだあの滑らかに仰け反る背中は!ジェリーと並んでのタップダンスもデュエットダンスも超綺麗。いやぁ、すごい。練習期間はめちゃくちゃ長かったようですが、よく頑張りました。

今後も機会があればミュージカルやって欲しい、というか是非その機会を作って欲しいです。いやぁ、一体どんな流れでこの仕事の話が来たんだろう。気になるなぁ。

アンサンブルがすごい!

メインキャストの皆さんも実力派かつ個性的で魅力的で素晴らしかったのですが、TOP HATに関してはアンサンブルさんの素晴らしさに触れずにいられない。まーくんさんと多部ちゃんの比じゃないくらい歌い踊り早着替えをして色んな役で演技をする。これほど高度な技術を求められるお仕事もないですよ。

アンサンブルさんは名前のない役がほとんどだから顔と名前を一致させるのは難しいんだけど、気にしてチェックすると、他の作品でお見かけしたことある方なのはよくあること。「ボーイフロムオズ」でリトルピーター役をやっていた吉井一肇さんが10年経ってまたピーターまーくんさんと共演してるのとか感無量。

座長まーくんさんが東京楽の挨拶とかその他様々なところでアンサンブルさんを讃えるコメントをしていて、アンサンブルさんたちが喜んでらっしゃるのが微笑ましかったです。本当にアンサンブルさんの職場環境は守ってあげたい。(別に劣悪だという話を聞いたわけではないけれど…)
よく知らない方からすると、アンサンブルってエキストラみたいなものだと思われてるかもしれないけど、全然違うよ!オーディションで選抜された精鋭部隊だよ!

屋良くんがすごい! ※追記

メインキャストの感想を割愛したら屋良くんのことを書きそびれてしまったので慌てて追記w

まーくんさんは「舞台で後輩と共演したい」って言うわりに全然機会がなくて、私が観た中だとネバゴナすばるくんと、アリバイ風間くん…?くらい?なのです。後輩との共演といえば俗に言う「バーター」で先輩の近くで学びつつ舞台経験を積む、という目的があると思うのだけど、当時のすばるくんはともかく、風間くんは既にベテランの域だったので絶対バーターじゃない。

まーくんさんはジャニーズでミュージカルをやる意義として「自分のミュージカルを後輩が観に来てくれて、その後輩がやりたいって思ってくれて、後輩がミュージカルやるのを後輩のファンが観に来てくれて、そうやってミュージカルの裾野が広がれば」とよく仰るんだけど、後輩との関わりが薄いV6の中でもまーくんさんはかなり薄い方だし、人見知りだし、見た目怖そうだし、そんなのでどうやって後輩にマージカルを観てもらえるんだよ!と茶の間から叱り飛ばしておりました。

このたび、共演者に屋良さんの名前があって「やっと後輩との共演!」という喜びと同時に「いやいや屋良さんバーター枠じゃないし!」というツッコんでしまいました。屋良さんは既に東宝ミュで主役張りまくる人材なのに…。先輩が主役だから脇役になっちゃって申し訳ない…。

最初、屋良さんなのに踊らない役と聞いてすっごくビックリしました。だって事務所の誇るダンサー屋良さんだよ?!この間の主演舞台でタップやってたよね?!
でも舞台を観たら、屋良さんのベティーニはめちゃくちゃ美味しい役どころで!キャラ濃すぎ!笑
面白すぎて笑い取りすぎだから、そりゃ主役のまーくんさんも羨ましがるわ。

会見でも「屋良が見どころ」って言うのわかる。でもアンサンブルさんと同じく、屋良さんも先輩からそう言ってもらえて嬉しかったんだろうなぁ。

宙組版のこと

2015年の宙組版TOP HAT公式サイトはこちら。
宙組公演 『TOP HAT』 | 宝塚歌劇公式ホームページ
今回のTOP HATの公式サイトはこちら。2019年1月末で閉じてしまうそうです。困る。
ミュージカル『TOP HAT(トップ・ハット)』公式サイト|坂本昌行・多部未華子ほか出演

今回の公演が決まった時に一部で物議を呼んだのが「日本初演」という表現。
ミュージカル「TOP HAT」は2011年にロンドンで初演、2015年9月に英国版キャストによる来日公演、宙組版はその前の2015年3〜4月に上演されています。
宙組版は脚本・演出を斎藤吉正先生が手がけていて、衣装も装置も宝塚で製作されたものです。対して今回の公演は「英国版オリジナルスタッフ&日本人キャストの組み合わせで初上演」とあるとおり、演出のマシュー・ホワイトをはじめとした本家スタッフが来日して作られました。

どこかの記事で今回の公演を「日本初演」という風に書かれていて、それはさすがに違うのではと思ったし、恐らく後に訂正されていたのですが、今回の公演のPRにおいて日本で先に宙組が上演していたことに触れるものはほぼ無く、宝塚OGの朝海ひかるさんすら宙組版の存在に全く触れないことに違和感を覚えました。
もちろん宙組版も本家の許可がないと上演出来ません。確かに宙組は本家の演出じゃなかったのだから上演回数にはカウントされない、と理屈ではわかるもののなんか釈然としないのは、宙組版も今回も「主催 梅田芸術劇場」であるという点です。

宙組DVDによると

今回の公演は

東京グローブ座」と同じく「梅田芸術劇場」は貸館事業だけでなく公演プロデュース業も行います。宙組公演の主催が宝塚歌劇団になっていないのは、宝塚大劇場東京宝塚劇場で上演される「本公演」ではなく売り興行である「メインホール公演」だからです。*1
梅田芸術劇場宙組公演に際して獲得したであろうTOP HATの上演権が、今回の公演と関係ないとは到底思えません。宙組公演を観て面白かったから本家スタッフによる公演も観てみようと思う宝塚ファンも少なからずいるだろうし、しかも宝塚OGの朝海ひかるさんも出演されるのですから朝海さんファンもいるでしょう。(ちなみに朝海さんの所属事務所も「梅田芸術劇場」ですね)
良い客になってくれそうなヅカオタをモヤモヤさせてどうするの?!というのが私の言い分です。

そんなモヤモヤは、公演パンフレットで解消しました。恐らく日本スタッフが宙組版に触れなかったのは、本家スタッフへの配慮だったのでしょう。しかし、オリジナル・ウエストエンド公演プロデューサーのケニー・ワックスは「東京で本作を上演するのは3度目。初めての機会は宝塚歌劇団による上演」「阪急グループとのコラボレーション」と語ってくださり、演出のマシューは「イギリス以外のカンパニーで上演されたエピソード」としてスウェーデン宝塚歌劇団を挙げていました。もちろん本家スタッフにとっては、今回の公演は宙組版から続く阪急グループとの関係から生まれたものであり、それを配慮したコメントをしてくださっている。宙組版が無かったことになっていないと感じられてスッキリしました。ありがとうございます。

延々とモヤモヤを吐き出してしまいました。反省。ちなみに、宙組が上演していることはポスターで知っていたものの、観てはいなかったのです。今回の公演が決まってからも宙組版もロンドン版も映画も見ずにいましたが、東京公演と大阪公演の間に宙組DVDを買って観ました。権利問題めちゃくちゃうるさそうなのに、DVDを販売できちゃう宝塚はすごい!
先に本家演出版を観ているから、本家と違うところ/似たところが分かって面白かったです。ベルナルドのあのシーンを宝塚ではどうやるのかめちゃくちゃ気になっていたのですが…!(このブログを読む方は宙組版未見の方が多そうなので敢えて伏せておきます)
演出や衣装は本家と変えているけれどオマージュはあるし、どこまでなら本家に寄せてもOKだったんだろう?逆に変えちゃダメなところもあったのでは?と考えながら観ると面白いです。

まーくんさんはすごい!!

呪いパートが長すぎてどうなることかと思われたかもしれませんが、TOP HATのまーくんさんはすごく良かったです!
いや、日本のフレッド・アステアなので、すごく良いのは想定内だったんです。タップダンスをガッツリやるのは久しぶり&加齢もあるので(超失礼)、本人的にはきっと大変だったと思うし、タップの練習はほぼ1年やってたそうなので、本当に大変だったとは思うのですが。
その大変さを全く感じさせなかったという点で、すごいなーと思うのです。マーダーの時にも書いたけど、タップとかピアノとかが出来るのはすごいことなんだけど、お芝居を観た感想が「タップをよく頑張ってた」では役者としては良くないのです。多部ちゃんにはダンスを褒めたくせに、という感じですが、だってそれは多部ちゃんが踊れることにまずびっくりしたから!(言い訳)

話は変わりますが、去年のブイコンではツアー中にまーくんさんが足を痛めたのでは、と噂になった時がありましたね。ダンスが全く踊れないとかじゃないのに、ちょっとした変化で察するオタクたち。そして言われないと気付かない鈍感な私。
まーくんさんは元々古傷持ちだと自分でも言ってるから、ツアー中にアクシデントがあったのかどうかは分からないけれど、今年TOP HAT以外のお仕事で怪我でもしていたらタップに支障あったんだなぁと思うとゾッとしますね。無事に公演が出来て良かった。まぁ、実は怪我をしていても、よっぽどのことでなければ公表されることもなく察することも出来ずなのですが…。

まーくんさんは、ポジティブで明るいスター的存在の役柄が、本当に似合う。ザ・ミュージカルって感じ。普段のまーくんさんはフワフワぼんやりしてるのに、舞台に立つまーくんさんは華やかで生き生きしてて、あぁ本当にミュージカルが好きなんだなぁと思えて嬉しい。私もミュージカル大好き。

今回すごく感じたのは、大作ミュージカルに出演することの効果。まーくんさんはよくミュージカルスター扱いされるけど、キャパが大きいものは2011年に日生劇場中日劇場梅田芸術劇場で計2ヶ月上演されたゾロくらいで、他は青山劇場クラス以下なんですよね。いや、青劇も全然でかい箱なんだけど。今回大阪公演に遠征してきたブイ担たちが「梅芸に来るのゾロ以来〜」と口々に言うものだから、その度に澱んだ目をしていました。私ももっと早く帰って来れると思ってたよ…。
これまで出演してきた作品も素敵なものばかりだったんだけど、ジャニオタ+αにしか消費されてない感じがしていて、「V6のリーダーの坂本くんは本当にミュージカルスターなの!嘘じゃないもん!」って大声で叫びたくなってしまう。そんな呪いを吐き出したエントリがこちら。直近の記事じゃん。これだから呪ってばかりと言われるのだ。

今回のTOP HATは作品自体が有名なものだから、ジャニオタ・ヅカオタ以外にも作品目当てで観に来られたんだろうなという客層も見受けられて、もうウキウキでした。
「ジャニーズのミュージカル王子」な光一くんに比べれば知名度的にはまだまだだけど、ジャニーズには他にもミュージカルスターがいるんですよ、ということを少しでも知っていただけると嬉しい。フジテレビと関テレが主催のわりにテレビで全然宣伝できなかったけど(オトナの事情なのかは知らない)、CMはそこそこ流してくれていたからまぁ許す…。でも再演してくれないと許さない…。

「ジャニーズの次期ミュージカル王子」としては、来年のエリザベートにルドルフ役で再登板する京本大我くんに期待しています。だってあのエリザだよ!知名度抜群!しかも「ジャニーズをデジタルに放つ」SixTONESだよ!パパは京本政樹だよ!
(大我くんの知名度を羨む大人気なさ)

今回TOP HATを見て「坂本くんが出るミュージカルをまた観たい」という声を聞けたのが嬉しかったです。まー担にとっては「意外性のない役」でも、初めての方にとっては新鮮に感じてもらえるんだから、自己紹介としては得意分野で勝負するのが一番いいよね。確かに、こういうオーソドックスなミュージカルを得意とする人は意外と少ないかもしれない。
「うちの自慢のミュージカルスターを観てもらえた!」と喜びに震えているので、また近々嬉しいニュースが聞けることを期待していますよ!